吹けよ春風 (1953)

黒澤明と谷口千吉の共同脚本によって、谷口千吉が監督している。撮影は飯村正、音楽は芥川也寸志の担当。

監督:谷口千吉
出演:三船敏郎、小泉博、藤原釜足、岡田茉莉子、越路吹雪、小林桂樹、小川虎之助、三國連太郎、青山京子、山村聡、山根寿子、三好栄子

吹けよ春風 (1953)のストーリー

雨の日も風の日も東京の街々を流して廻るタクシーの運転手、若い松村(三船敏郎)はバック・ミラーに映った数々の人生断片に考えさせられる。--自動車になど乗ったこともない貧民街の子供達が十人、手に手に十円札を差出して百円分だけ乗せてくれと騒いだこと。……雨の夜、ふと乗ってきた家出少女(青山京子)を散々なだめすかしてみたものの、一向肯んじぬ強情さに腹を立て、雨中に置去りにしたこと……しかし日を経て松村は母親と連立った幸福そうな彼女と会った。劇場前でもみくちゃにされた人気女優淡路ひかる(越路吹雪)を拾って、神宮外苑を乗り回し、二人で愉しく合唱などしたこと。……深夜、乗りこんだ酔つぱらい客の「窓抜けの天井渡り」の曲芸に悩まされたこと。……銀婚式当日という孤独な老夫妻の客にガソリン・スタンドの娘から貰った花を贈って、心温まる一夕を過したこと。……自動車強盗に襲われて怖い思いをなめたこと。……刑余の夫と十年の不在を耐えた妻との再会に接して、思わず涙ぐんだこと。--美醜善悪も分たぬ無数の人生にふれて、松村はやはり大都会に吹く一陣の春風--美しい人間の善意を信じないわけにはゆかなかった。

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