松浦健郎と谷口千吉が脚本執筆、谷口千吉が監督する柔道対空手の活劇篇。撮影は同じく山田一夫。
監督:谷口千吉
出演:三船敏郎、香川京子、小堀明男、田崎潤、根岸明美、磯村みどり、柳永二郎、上田吉二郎、平田昭彦
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嵐の中の男 (1957)のストーリー
明治三十八年、日露戦役終結の頃。小村寿太郎の軟弱外交を怒る血気の壮士らは群集を煽動し、いわゆる日比谷焼打事件が起る。この頃、老齢の下田警察署柔道師範、清水悠山(柳永二郎)に代り赴任してきた柔道四段の渡三郎(三船敏郎)は途中の船中で警官の取調べを受けるが、これが縁で悠山の娘秋子(香川京子)と知り合う。下田に着くと、道場に水兵が暴れ込んだと門弟の知らせ。万一に備え師範代、辻堂庫次(小堀明男)を迎えに行く処という。渡はすぐさま道場に駈けつけ無言のまま水兵達を次々と投げ飛ばし悠山の危機を救うが、警察へ向う途中、道場に急ぐ辻堂とすれ違う。辻堂は腕は立つが性は驕慢、秋子に横恋慕しつつも後任は渡との決定に、琉球女お紺の飲み屋で連日酒びたり。波の腕前を聞き、いつか彼と雌雄を決すると決意を固める。渡は温厚な悠山と亙に好意を感じるが、無法な辻堂に怒った悠山は破門を宣告。水兵らと彼を襲った辻堂と乱闘の末、憲兵に逮捕された渡は責任を感じ後任に悠山を推して東京へ去る。
入れ違いに来たお紺の兄屋嘉比運兵(田崎潤)は空手の達人で暴れ者。辻堂の話に渡打倒を誓い合う。舞台は東京。小村を国賊と狙う挽洋社太刀岡玄将の許で渡を探し廻る辻堂と運平。渡は人力車夫となり苦学していたが乗客の講道館四天王、段原八段(小杉義男)に認められ、講道館で腕を磨く。ある夜、暴漢の手から小村の娘、圭子(磯村みどり)を救った渡は負傷し小村邸に引取られたが、彼を追い上京した秋子が小間使をしているのにめぐり逢う。渡の男らしさに惹かれる圭子。政治家になれとの小村の好意を辞退した渡は柔道一筋に修行に励む。彼の本心を知った秋子は父の許へ戻る。辻堂の決闘状で指定の場所へ赴いた渡は、拳銃の狙撃を危く脱れる。
舞台は再び下田。悠山道場乗取りを計る辻堂と運平に、署長は渡を呼びに上京。秋子さんを倖せに、との圭子の涙に送られた渡は病床の悠山の娘を思うウワ言に暗然としつつお紺の店へ。決闘の際、渡を倒したと思い込んでいた辻堂と運平を死闘の末、遂に倒す。そこに駈けよる秋子。彼女に迫る辻堂に、妹を騙したと怒る運平は取組み合ったまま空濠へ消える。傷ついた渡も、今は晴れて秋子と抱擁を交す。