香椎豊次郎の“報国丸の話”という実録からヒントを得て菊田一夫が創作した海洋活劇。脚色は監督稲垣浩と村田武雄。稲垣浩が監督した。撮影は飯村正。
監督:稲垣浩
出演:三船敏郎、岡田茉莉子、小泉博、田崎潤、小杉義男、上田吉二郎、清水元。なお、少年囚には殆ど新人を起用
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囚人船 (1956)のストーリー
昭和九年、初夏の浦賀港。刑務所船平安丸に収容された少年囚達は、海員として更正できるよう水兵と同じ訓練を受けていた。彼等の唯一の楽しみは遠洋漁業だった。ある日、遠洋漁業船愛天丸の新船長松尾徳造(三船敏郎)の就任式が行われたが、松尾は少年囚の野次に圧倒され、壇上で立往生して漁撈長の猪ヶ谷(田崎潤)にたしなめられる。その夜、松尾は下宿で新妻みき(岡田茉莉子)と食事中、階下の桶屋に逃げて来た脱走少年囚の安城(上村幸之)を捕えたが、為に少年達に憎まれるようになる。だが松尾は安城の身の上をきいて彼の更正を決心し、遠洋漁業にも参加させることにした。やがて愛天丸は二十五名の少年囚乗り組みの上歓声に送られて出航した。太平洋に乗り出すと松尾船長は見違えるほど元気になり、船は魚群を求めて南下を続ける。だが、連日の不漁に猪ヶ谷の機嫌は悪く、発熱で苦しむ少年囚にも、氷は魚を冷すのに大切だと突っぱねた。やがて待望の鮪の群を見つけた少年達は精一杯働いた。しかしその最中も猪ヶ谷の冷酷さに少年囚らは憎悪の炎を燃やし、遂にストライキを決行する。松尾らの必死の説得も水泡となり、ある夜、少年囚は船を占拠しようと一斉に行動を起した。不意を衝かれた船員達は一室に監禁された。通信長蒔富(小泉博)は隙を見て本部に打電し、急拠愛国丸が出動した。船内では打電を知った少年囚達に船員が逆襲を開始、血みどろの乱闘が続く中、愛国丸が接近して来た。一部の少年囚の放火も、平静に帰した少年達の努力で無事消火した。やがて浦賀港に戻った愛天丸を迎えたのは武装看守と護送車だった。「すみません」と頭を下げて通りすぎる少年達を悲しみを押えて見送った松尾は、護送車の蔭に待つみきと共に、雨に煙る波止場を離れて行った。